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暁闇
第14章 弟
「……ってゆーか、姉ちゃんこそ」
「え?」
「何かあったんじゃねーの?」
「……え?」
さっきまでの慌てた様子が嘘のように。
今度は私を見て、弟はにやにやとした笑いを浮かべる。
コーヒーを手に、テーブルの椅子に座る。
普通を装いながら、私は口を開いた。
「そんなの……別に何も――――」
「翔悟さん」
けれど私の言葉を無視するように、彼の名前を突然出してきて。
思わず固まってしまった私に、意味深な笑みを深くする。
「何? とうとう告られた?」
……この子、もしかして翔悟くんに何か聞いてたんだろうか。
そう思いながら、カップを口に運ぶ。
「……苦っ」
少し、濃すぎたかもしれない。
立ち上がって、台所からクリームを持ってくる。