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暁闇
第14章 弟
目が合った。
「意味わかんね――……」
けれど弟は、そう言って。
はあ……と、俯きながら大きく溜め息をつく。
「何で?」
そしてまた、私を見て。
「何ですぐ返事しなかったんだよ。
姉ちゃんだって、翔悟さんのこと好きなんだろ?」
「――――……」
「なあ、違うの?」
答えない私に、苛立ちを隠せない様子の丈の声。
「……違わないよ」
翔悟くんへの想いは、確かに自覚してる。
「じゃあ何で? 何で即答しなかったんだよ」
「……いろいろ思うこと、あって」
「何だよそれ」
呆れたような、丈の溜め息。
「自分でもうまく説明できないけど……すぐ返事するなんて、無理だったの」
「……は? 何?
じゃあ翔悟さんには、はっきり理由も言わずに返事待って、って言ったってこと?」
「だって――――」
信じらんね……と、丈は呟いた。