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暁闇
第14章 弟
「うまく説明できないとか、何だよそれ」
「丈……」
マジ分かんねーし、と言って。
濡れた短い髪を、肩にかけたタオルで思いっきり拭く。
乱暴なその手つき。
そんな弟、私はあまり見たことがなかったから、少なからず動揺してしまった。
不機嫌そうな丈からは、私に対する苛立ちが感じ取れて。
「……で?」
やがて大きく息を吐き、再び丈は口を開いた。
「翔悟さんは何て」
ちら、と私に視線を寄越して。
「……分かった、って。
待つ、って言ってくれた」
「ふーん。
……姉ちゃんは、安心したわけだ」
は、と。
吐き捨てるように。
「そんなこと――――」
「優しいよね、あの人ほんと」
また溜め息をついて。
「……っていうか、優しすぎでしょ」
「丈」
「別に非難してるわけじゃねーから。
……オレ、そういう翔悟さん好きだし」