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暁闇
第15章  私


――でも。
いくら本当のことを言っても。

密室の中で先生と生徒がふたりきりで数時間会っていた――――その事実だけで、充分だった。
根も葉もない噂が、広まるのなんて。


宮田先生は生徒に手を出した、とか。
生徒の方から誘惑したらしい、とか。

いつの間にか私と先生は性的な関係を持ってることになってしまっていて。

男子生徒には卑猥な言葉を言われ。
先生のファンの子たちからはあからさまに攻撃され。


今日子ちゃんが庇ってくれたけど。
もうみんな、非日常のその騒ぎを面白がっていて。
本当の事なんて別にどうでもいいような、その雰囲気。


そして、騒ぎのあと、先生は休職していた。
一度も会えないまま、私は終業式を迎え。


……春休み中に発表になった、教職員の異動。
新聞を確認した。

宮田先生の名前があった。
教諭転任の欄に――――。



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