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暁闇
第15章 私
黙ったまま、しばらく歩いた。
何も言葉にできなかった。
でも、頭の中は騒がしかった。
いろんなことがぐるぐると回ってた。
翔悟くんはどういうつもりで手を握ってきたの?
雰囲気に流された?
それとも、私のこと……そういう意味で?
想いは叶わないと思ってた。
今までも、叶わなくていいんだ、って自分に言い聞かせてた。
想うだけで自分は満足なんだから、と言い聞かせてきた。
だって、好きな人と想いを通じ合わせて幸せになる、なんてこと。
身勝手な想いを露わにして周りを巻き込んだ自分には、許されないような気がしていたから。
それなのに、もし。
叶ってしまいそうになったら。
私、どうしたらいいんだろう――――。
――そんなことを思っていたときだった。
丈からの着信があったのは。