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暁闇
第16章 向き合いたい
「……ちゃんと話してこいよ、翔悟さんと」
「丈――――」
「何いろいろ考えてんのか知んないけどさ。
それ全部翔悟さんに聞いてもらえよ」
な? と。
「ひとりでぐちゃぐちゃ考えてたってどーしようもないじゃん。
だって相手がいることなんだしさ」
……さっきも感じたけど、時々弟は大人な発言をするようになった。
なんだか、それはとても不思議な感じで――――。
「……やだ」
「あ?」
「丈のくせになんだか生意気……」
「はあ!?」
丈は、何だよせっかく……、とぶつぶつ呟き出す。
そんな弟を見ていたら、私の気持ちは少し落ち着いて。
「……準備、する」
そう言って、鞄に最低限のものを詰める。
それを見てか、丈は静かにドアを閉めた。
出られる格好に着替え、コートと鞄を手に持って、部屋を出る。
弟は、リビングのソファーに座ってスマホを触っていた。
――程なく鳴った着信音。
翔悟くんからの、着いたという連絡。
「……行ってきます」
「んー」
ひらひらと、手のひらを振る丈。
こっちを見ずに。
私はコートを羽織り、玄関のドアを開けた――――。