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暁闇
第16章 向き合いたい
アパートの入り口に横付けされた車。
車に凭れるようにして、俯きながら立っているその人。
「翔悟くん……」
すぐに私に気付いて。
近づく私をただ、見つめてきて。
彼の前で立ち止まった私に不意に伸ばされた手が、頬に届いた。
思わず、びく、と。
反射的に俯いた顔の、目元へとその指先は移る。
もう泣いてなんかいなかったけど。
なぞるように辿られた目元。
「――――……!」
そして次の瞬間、私は腕を掴まれ。
そのまま引かれた。
身体が、ぎゅっと翔悟くんに抱き締められる。
どくん、と私の心臓の鼓動が一気に激しくなって。
「……あおいさん――――」
その状態で名前を呼ばれ、私の胸はもう苦しいほどで。
……たまらなくなって、彼の身体に縋るように、私もそっと背中に両手を回した。