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暁闇
第16章 向き合いたい
少しの間、抱き合っていると。
遠くから、次第に大きくなってくるヘッドライトが見えて、私たちは慌てて身体を離した。
「……行きましょうか」
翔悟くんの言葉に頷き、私は助手席へと乗り込む。
彼も、運転席に座って。
やがてさっきの車が、横を通った。
翔悟くんも、静かに車を発進させる。
「……ごめんね、夜中に」
彼は私の言葉に、全然、と答えた。
「弟に怒られちゃった」
「丈に?」
「ん……。
さっき、曖昧な返事で終わらせたこと……翔悟くんに同情する、って」
「……あいつ、そんなこと」
「丈は翔悟くんが大好きだから」
ふふ、と小さく笑った私に、ちら……と向けられた彼の一瞬の視線。
「……違うよ」
そして、その言葉。
「え?」
彼の方を向いて、その言葉の意味を問う。
翔悟くんは少し笑って、それから言った。