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暁闇
第16章 向き合いたい
「丈が大好きなのは、あおいさんだよ」
「え?」
私……?
「……あおいさんって、自分に向けられる好意とかにはけっこう鈍感だよな……」
困ったように笑いながら呟く。
「……そんな、の」
何て返したらいいかわからなくて、私は黙ってそっと窓から外を見た。
「雪……降らなかったね」
「え?」
「天気予報では、降るかもって言ってたのに」
「ああ……そうでしたね」
……そうして。
それからはふたりとも黙り込んだ。
翔悟くんの家に着くまで、私はただ、窓の外を見つめて。
時折見える、イルミネーションで飾られた建物。
ひとりごとのように、きれい、とただ呟いた。
そしてふと、思い出す。
抱きしめられた感触と、耳元に感じた彼の熱い息。
きゅ……と、胸が苦しくなった。