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暁闇
第16章 向き合いたい
「はい」
手渡されたコーヒー。
ありがとう、とカップを受け取ると、翔悟くんはベッドを背にして私の右横に座った。
卓上時計が、時を刻む音。
それが聞こえるぐらいのその静けさ。
「……あおいさん」
その沈黙を先に破ったのは、彼だった。
「今日、いきなりで……驚きましたよね」
……こくん、と。
俯いたまま頷いて答える。
「でも俺……ずっと、あおいさんのこといいなって思ってた。
出会ったときもそうだったけど、あおいさんっていつも俺の話、ちゃんと聞いてくれて。俺がしんどかったときも、励ましたりしてくれて。
……そういうの、嬉しくて。いいな、ってずっと思ってて」
丁寧に、説明してくれる彼。
……やっぱり、翔悟くんのこういうところ、好き。
「ただ、桜井のこともあったし。あおいさんそれ知ってるから。
……だから、曖昧な気持ちのまま口にしちゃいけないって思って。気持ち、ちゃんと確信できるまでは言わないでおこうと決めてた」
「翔悟くん……」
「……でもあのとき、すげー焦って。やば、って思った。
そんなこと考えてるあいだに、あおいさんが他の男に取られたら俺マジで後悔すると思って」
「あのとき?」
「あおいさんがお父さんと会ってた日」
ちら、と私を見る。