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暁闇
第16章 向き合いたい
「丈から、お父さんだって聞くまで。気が気じゃなかったっていうか」
「……そうだったんだ」
翔悟くん、私と同じように思っててくれたんだ。
「私もその日……すごく、考えてた」
「え?」
「だって丈が、翔悟くん女の人とふたりでいた、って言ってたから……」
「あ……」
マジか、と彼は呟いた。
「丈、あおいさんに話したんだ」
こくん、と頷くと。
翔悟くんは座り直して、それから言った。
「あれ、仕組まれたんですよ。友達に」
「え?」
「なんか……その子、俺のこと気に入ってくれてたらしくて。友達が計画して、知らないうちに俺たちふたりにさせられたっていうか」
「……そうだったんだ」
ほっ、と胸を撫で下ろす。
なんだ……デートじゃなかったんだ。
翔悟くんの気持ちはもう聞かされたから、その人とは何もないんだろうとは思ったけれど、こうして言葉にしてもらえるとやっぱり安心する。
「俺、ちゃんと断ったんで」
「翔悟くん……」
「好きな人のことで頭がいっぱいで、その人のこと以外考えられないから、って」
真っ直ぐにまた、私を見る。
……彼のその目に見つめられると、どうしたらいいかわからなくなる。
それぐらい、どきどきしてしまう。