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暁闇
第16章 向き合いたい
「それ、あおいさんのことだから……今更言わなくても分かってくれてると思うけど」
また、声のトーンが低くなる。
思わず俯いた私は、手の中のカップを見つめる。
胸の動悸から意識を逸らそうとしても、うまくできなくて。
「……だから、もうちゃんと言おうと思った」
すっ、と伸ばされた手が、私の手の中のカップへと触れ。
そのまま、奪われる。
カタン、と音がして。
目の前のガラスのテーブルの上に置かれた。
「あおいさんにとっては突然だったかもしれないけど。もう俺、ずっと。
ずっとあおいさんのこと――――」
カップから離された彼の手。
そのまま、私へと。
頬にそっと触れられて。
びくんと首をすくめてしまった。
「……顔、赤い」
ひんやりする、彼の手。
自分の顔が火照ってるのが分かる。
そういえば、私。
今お化粧してない。
「……見ないで……」
無防備な自分を彼に晒していることが急に恥ずかしくなって。
俯いて、その手から逃げる。
「何で?」
翔悟くんが、私との距離を少し詰めてきた。
「可愛いのに」
その声が、近くなる。
離れた手が、もう一度私の頬に触れ。