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第16章 　向き合いたい

　

ああ――――……。


どうしよう、好き。
話をしなきゃ、いけないのに。
彼の言葉が。口づけが。
すごく……すごく嬉しくて、幸せで。


そんなふうに思う資格、本当は私にはないのに。


どうしよう。
翔悟くんのこと、どんどん。
このままじゃ、どんどん好きになってしまう――――。


「あおいさん？」


そんな私を、翔悟くんは少し緊張したような顔をして、見て。


「もしかして、怒った……？」

「……え」

「突然だったから」

「あ……ううん」


そうじゃない。
翔悟くんは何も悪くない――――。


「なら、何でそんな顔」


私の手に、自分の手を重ねる。


「……私、どんな顔してた……？」


その重ねられた手を見つめながら、そう翔悟くんに聞いた。


「ん――――……」


彼は少し、考え込んで。


「なんか、困ったような？
……子供が悪いことやらかして、どうしようって思ってるような……そういう顔？」


それから、くすっと笑う。


「え……そんなひどいの？」


その笑顔に少し緊張が解れた私も、つられるように思わず苦笑いしながら言葉を漏らす。