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暁闇
第17章 交わすたび、深まって
「……ご両親は確かに離婚という形になったかもしれないけど、それぞれ再婚もされてるんですよね」
私は小さく頷いて答える。
「丈だって、転校先でトラブったりしたこともないって言ってたし。楽しく毎日過ごせてる、とも。
なのに、あおいさんだけがいつまでも引きずってる――――そんなふうに」
「……丈が……?」
弟が、そんなこと――――。
「……でも、どうして……どうして翔悟くんに、そんな話……」
混乱しながらも、それだけを呟くと。
翔悟くんは少し考え込むように、視線を彷徨わせた。
「ん――……」
別に言ってもいいか、そう呟いて。
それから私とまた視線を合わせる。
「丈に、あおいさんのこと好きかどうか聞かれたんだ」
「え?」
「俺、そのときはまだ、はっきり自分の気持ちわかんなくて。
でも、好意は持ってる、って答えた」
「翔悟くん――――」
「何で? って聞いたら。
……あいつ、俺が相手ならあおいさんは幸せになれると思うから、って」
その言葉に、ぐっ、と胸が詰まって。
「それから、こうも言ってた。
『姉ちゃんには幸せになってほしいんだ』って」