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暁闇
第17章 交わすたび、深まって
やがて、離される唇。
そのまままた静かに抱き寄せられ。
「……少し、落ち着いた?」
耳に心地よく響く、その声。
俯いたまま、こくん、と私は頷く。
翔悟くんはそんな私の頭を優しく撫でて、そのままそこにキスをひとつ落とした。
そして、よかった……と。
ほっとしたような彼の呟きが聞こえて。
さっきの感情の高ぶりは、もう収まりつつあった。
抱き寄せられている彼の胸にそっと身体を預ける。
彼にもそれが伝わったのか、背中に回された手にまた少し力が入ったのが分かった。
「俺と……付き合ってくれますよね」
「……翔悟くん……」
ね、と。
再度、繰り返される。
「……でも私なんかで翔悟くん本当に……。
弟の言った言葉を気にしてるなら、もう……」
だってこんなに素敵なひと。
私より、ふさわしいひとがきっといるような気がした。
私なんかより、もっと彼を幸せな気持ちにしてあげられるひとが。
翔悟くんは優しいから。
もしかしたら丈の私に対する気持ちを叶えてくれようとしてるのかもしれない。
そんなふうに、また……別の意味での躊躇いが。