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暁闇
第17章 交わすたび、深まって
「……ごめんなさい」
そして彼の言葉に、自分はひどいことを口にしたのだと気付いた私は彼に謝った。
こめんなさい……そう、再度口にして。
「翔悟くんの言葉を疑ったわけじゃないの……ただ、私……私なんかが翔悟くんと――――」
瞬間、唇に触れた彼の手。
私の言葉は止められた。
「また言った」
そして、そう言われ。
あ……、と。
そのまま口を閉じた私に、そっと手を離した彼。
その口元が、笑みを作ろうとしてか、わずかに動く。
「……まあ、予想はしてたけど。
あおいさんがそう思うかもしれないってこと。
だから……少し言うの迷った。
でも丈があおいさんを大事に思ってるってこと、やっぱり伝えたいと思ったから」
「翔悟くん……」
彼はどうして、こんなにも私の気持ちに寄り添ってくれるんだろう。
私を分かろうとしてくれるんだろう。
「どうして私のこと、そんなに考えてくれるの……?」
え? と、彼は少し驚いたような顔をして
「……好きだからに決まってるじゃないですか」
それからそう言って、今度こそ確かに口元に微かな笑みを浮かべた。