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暁闇
第17章 交わすたび、深まって
「……どこが、いいの?」
「え?」
「その……私の……」
自分では、どうしても分からなくて。
「ん――……。
全部、って言ったらだめですか?」
全部……。
私は、頭の中でその言葉を繰り返す。
なんだかあまり、ぴんとこなくて。
「だめか」
そりゃそうですよね、と。
苦笑しながら彼は続けた。
「あんまりうまく言えないけど」
「……うん」
「そうだな……あおいさんのまわりは、いつも雰囲気が優しい。
一緒にいると心地よくて、安らげるっていうか」
うん、と何度か頷いて。
「すごく、落ち着く」
「……そうなの?」
「ん。それ、俺の中ではすごく大きい。
苛々してたり、ストレスたまったりしてても、あおいさんに会うとそれが楽になる」
「私、何もしてないよ……?」
特別なことなんて、何もしてないのに。
そんなふうに思っててくれてたなんて、と。
なんだか急に彼が見られなくなり、俯いて続けた。