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暁闇
第17章 交わすたび、深まって
「ねえ、あおいさん」
私の名を呼ぶその囁きは、真剣な色を帯びていた。
「まだ、いろいろ躊躇ってるのかもしれないけど……それ、もう諦めて?」
「え……?」
「だって俺。あおいさんがそばにいないと幸せになれないから」
深く息を吐いて。
そしてまた、彼は続けた。
「だから……俺の幸せのために、もう諦めてください。
そんな躊躇いなんていらない。そんなのもう考えなくていいです。俺のために、ただそれだけでいい。
……今はまだ、それだけでもいいから」
「翔悟くん……」
「だからお願いします……俺のこと、選んで」
少し掠れた声で、そう囁かれる。
「いつかちゃんと。俺のためにだけじゃなく、ちゃんと自分の幸せのために俺を選んだんだって、あおいさんに笑顔でそう言ってもらえるようにするから」
だから……、と。
「翔悟くん――――……」
……胸が、苦しい。
こんなにも私を求めてくれる彼を、拒める理由なんて。
そんなの、どこにもあるわけがなかった。
私の躊躇いなんて。
彼の前ではきっともう、何の理由にもならない――――。