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暁闇
第3章 そして出会った彼女
「……失礼かもしれませんけど、聞いていいですか?」
「え?」
俺は、顔を上げて彼女と視線を合わせた。
「もしかして――――」
「あおい!」
突然のその声に、彼女はそこで口を噤んだ。
少し派手なかんじの女性が、手を振りながら近づいてくる。
「和美」
彼女が手を振り返す。
やがて近くまできた、その女性。
どうも、と俺に会釈をして。
それから彼女に向き直る。
「ね、同期で写真撮ろ?
もちろん桜井くんと奥さんも一緒に~」
「あ、うん」
「……それにしても」
振り向いて、ふたりの姿を見ながら。
「なにあの桜井くんの幸せそうな顔ー!
あんなの見たことないんだけど」
はあ……とついた溜め息。
「……まさかあのときのあの子と結婚なんて。
ただの妹なんかじゃなかったじゃない」
つん、と不満そうに唇を少し尖らせて。
あおいさんに、まあまあと宥められる。
「もう……なんかくやしい~!」
この人はどうやら先輩が好きらしい。
あまりにもわかりやすい言動に、思わず俺は苦笑する。