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暁闇
第20章 ほどけて
「あおいさん、どうしたの」
泣いてる彼女に気づいて。
俺は動揺して。
なのに彼女は、その体勢のまま……静かに嗚咽を漏らし続ける。
これじゃ、抱き締めることもできない――――そう思った俺は、強引に身体を反転させ。
掴んでいたときのまま宙に浮いたその手ごと、彼女を抱き締めた。
「……っ、う……」
再び、その手が俺の着ているコートの胸元を掴む。
何があったのかわからないけど。
彼女は俺を求めてくれている。
俺の存在を今、必要としてくれている――――。
「……どうしたんですか」
もう一度、聞く。
その耳元に唇を寄せ。
ひっく、としゃくりあげながら、彼女はやがて口にした。
「……きたの」
「え?」
「返事……きた……」
返事?