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暁闇
第20章 ほどけて
あおいさんの手を引いて、部屋の奥へと進んだ。
冷え切った室内。
荷物を置き、暖房をつけ。
それからお湯を沸かした。
彼女はこの前の場所に座り、俯く。
時折指先が目元を辿っているのが分かった。
それでも、俺の視線に気づいたのか――――顔を上げ静かに目を合わせる。
泣いているのか笑っているのか分からないような表情を浮かべ、それから再び俯くようにして鞄の中をあらため始めた。
「はい」
いれたのは、あおいさんが好んでよく飲んでいるハイビスカスとローズヒップのお茶。
彼女がうちに来たらいれてあげようと思って買っておいたものだった。
深い赤色が、白いカップの中でゆらゆらと揺れる。
「……あ」
すぐに気づいた彼女は、今度こそ笑顔になって。
「嬉しい……」
ふふ、と。
俺を見て、言った。