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暁闇
第20章 ほどけて
お茶を口にし、ふう、と深く息を吐いた彼女。
「美味しい」
そう呟くと、カップをテーブルの上に置いた。
そして鞄の中から取り出した、封筒。
「……これ」
俺に差し出してくる。
「先生から?」
こくんと頷いて
「読んで……翔悟くんも」
「え?」
でもこれは――――。
「読んでほしいの」
俺の微かな躊躇いを消した、そのはっきりとした言葉。
「……分かった」
封筒から取り出した便箋を、開く。
美しい文字で書かれている言葉。
3枚に及ぶ、その想い。
『松下あおいさん。
手紙、どうもありがとう』
それは、そんな一文から始まっていた――――。