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暁闇
第20章 ほどけて
手紙を畳み、封筒にしまおうとしたとき。
まだ中に何か入っているのに気づいて。
「写真?」
取り出して、見ると。
小さな女の子を抱っこした男性と、その隣に寄り添うようにしている女性。
妊娠しているのだろう。お腹が大きい。
……みんな、幸せそうに笑っていて。
「あおいさん」
隣にいる彼女に、声を掛けると。
「……っ……」
両手で顔を覆い、肩を震わせる。
「良かっ……っ……」
俺は彼女の肩を抱き寄せ、うん、と答えた。
「先生……っ、幸せ、って……」
「……ん」
よかった、と何度も繰り返す彼女。
俺も、よかった、と。
彼女の心の負担が少しは減ったであろうことを感じ、本当によかったと……そう思いながら。
抱き寄せた彼女の肩の震えが治まるまで、そのまま、そうしていた。