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暁闇
第20章 ほどけて
しばらくすると、あおいさんは落ち着いたようで。
深く長い、息を吐き。
ありがとう、と言いながら。
俺から静かに身体を離した。
また小さく息を吐き、カップを手に取る。
もう冷めてしまっているであろうお茶。
それでもあおいさんは、美味しい、と呟いて。
それから俺を見て、微笑む。
「……ね、翔悟くん」
ん? と、目だけで答えた。
「先生に、翔悟くんのこと話してもいいかな……」
「え?」
「私にも……大切なひとがいます、って。
そう、話してもいい?」
「あおいさん……」
「だから、今は私も幸せです、って――――」
そんなの、いいに決まってる。
「ん」
「……ありがとう」
浮かんだ、ほっとしたような安堵の笑み。
「なんなら俺も書く?
はじめまして彼氏です、とか」
「え? ……やだもう、翔悟くんったら」
くすくすと、声を漏らして楽しそうに俺の肩に、ぽん、と触れる彼女。
自然に、俺が口元に浮かべた笑みも深くなり――――。