この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
暁闇
第20章 ほどけて
「……話、もっとしていい?」
笑い声の途切れたその時を見計らうかのように、あおいさんは言った。
「前に言ってた、話したいこと?」
「ん……」
「……お茶、いれ直します」
俺は、自分とあおいさんのカップを手に立ち上がった。
台所でお湯を沸かしながら、言う。
「実家で何かあったとか?」
「え? あ……うん、そう……弟がね」
「丈?」
「ん……みんなでごはん食べてるとき、突然『姉ちゃん彼氏できた』って言い出して――――」
「え?」
あおいさんは、困ったような笑みを浮かべて俺に視線を寄越す。
「みんな、って」
「ん――……。
おじいちゃんと、おばあちゃんと……お母さん? 私たちの帰省に合わせて来てくれたの」
「そっか……うん、みんなだね」
俺も、苦笑いをしながら。
沸いたお湯で、今度はコーヒーをいれた。