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暁闇
第1章 Prologue
彼――村上翔悟くんは、私の同級生だ。
高校と、大学が一緒。
私の親友の坂本加奈と、三人でよく一緒にいた。
その関係が始まったのは高1のとき。
村上くんから告白されたことがきっかけだった。
当時、彼氏とか興味がなかった私は、あまりよく知らなかった彼のその告白を断る。
けれど、それからずっと村上くんは友達として仲良くしてくれた。
高2のとき、私が1学年上の先輩と付き合い始めても、それは変わらなかった。
その人と別れてからも、彼はいつも私のそばで、友達というスタンスを崩さずにいてくれた。
大学3年。
彼から2度目の告白をされた私は、彼が5年間ずっと私を想い続けていてくれたことを知る。
……けれど、そのとき私の心の中には葉月くんがいて。無意識のうちに彼にずっと抱いていた気持ちに自分で気づいてしまっていた頃で。
だから、やっぱり彼の告白は断ったのだけれど。
義理の兄という存在だった葉月くんへの想いはきっと報われることはないのだと思いこんでいた私を、彼はそのまま受け入れようとしてくれた。
葉月くんへの想いを断ち切れるなら――――そうして始まった村上くんとの交際は結局、葉月くん以外の人は無理だと分かってしまった私の言葉で終わりを告げて。
それなのに、彼は。
私を責めるでもなく、むしろ励ましてくれて。
想いは報われなくてもせめて兄妹の関係でだけでも繋がっていたいから、それを壊しかねない告白なんてできない――――そう思っていた私の気持ちを、知らないうちに葉月くんに伝えてくれていた。
結局、それがきっかけで、葉月くんも私と同じ気持ちだったということが分かって。
こうやって、今……私たちはふたりで幸せに暮らせている――――。