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暁闇
第23章 優しさの連鎖
「ずっと、つけられると思って」
掛けられた彼の言葉に、頷く。
「シンプルなのに、すごく可愛い。
こういうの好き……」
ありがとう、そうまた呟いたときだった。
「あおいさんのイニシャルは一生それでしょ?」
「……ん」
嬉しくて、彼の言葉をそのまま何の疑問も持たず、受け入れる。
笑顔で彼と、そのアルファベットを見比べるようにしていた私だったけど。
「……気づかねーし」
俯いてぼそっと呟いた翔悟くん。
「え?」
……何?
顔を上げたときの、彼のその苦笑い。
「あおいさんのイニシャル、結婚してもそのままでしょ?」
そしてもう一度、さっきの言葉を言い直すように口にする。
「……え……」
結婚って――――……?
「……それとも俺の名字、忘れちゃいました?」
やっとわかった? とでも言わんばかりの表情で、私を見つめる。