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暁闇
第23章 優しさの連鎖
「……覚えて……ます……」
翔悟くんの名字。
村上、だから。
私と同じ、M――――。
「……っ……覚えてる――――……」
震える声が漏れたその口元を、手で押さえた。
……嘘。
だってそれって、つまり。
「うん」
もう片方の手が、彼に取られる。
「結婚しよう、あおいさん」
はっきりと、その言葉を口にされ。
ぐっ……と、急激にこみ上げてきた感情が、嗚咽となって漏れそうで。
口を押さえたまま、頷いた。
何を考えたわけでもない。
その言葉を、私は本当に……ただ素直に受け入れていて。
何度も、何度も頷いていた。
「終わりなんて、こないから」
続けられた、私の気持ちに寄り添ってくれるその言葉の意味に、たまらず声が漏れる。
「……う……」
ひく、と。
吸った息も震えて。