この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
暁闇
第5章 終わらせる決意
「……ま、結果振られたんですけど。
それを機に、桜井の友人の位置を手に入れられたというか。
そんなかんじで数年……ずっといて」
「ずっと……」
「5年ぐらい、かな」
大学3年。
彼女の、先輩への想いを知るまで。
「そんなに――――」
松下さんは、少し驚いたような口調で言った。
「桜井、彼氏作る気とかなさそうだったから。だから俺も、なんかどこかで安心してたっていうか。
いつか彼氏ほしいって思ったときに、その相手に俺を選んでくれたら……そんなふうに考えてて」
あの、前の男と別れてからの桜井。
どんなひどい別れをしたのか俺には分からないけれど、でも、しばらく彼氏を作る気にはなれないと言っていたくらいだから、相当だったのだろう。