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暁闇
第1章 Prologue
……ふっ、と。
強くなった、葉月くんの香り。
私の大好きな。
「ん」
私のその閉じられた唇をほどくような。そんな、優しいキス。
そして、ふわっと。
そのまま私の身体が包まれる。
「……どうして謝るの?」
葉月くんの、そのぬくもり。
「琴音の気持ち、ちゃんと分かってるよ?」
「葉月くん――――……」
「そんな琴音が、僕は好きなんだけど」
忘れたの? そう耳元で囁く。
「…………っ」
首を振り、葉月くんを抱き締め返す。
そうだった。
葉月くんは、私のことを私以上に分かってくれてる人だった。
私の心が、安心感で満たされる。
彼にすべてを委ねるように、身体の力を静かに抜いた。