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暁闇
第1章 Prologue
「……松下さんはね」
それが分かったのか、きゅっ……とほんの少し葉月くんの腕に力がこもる。
そのまま、彼は話し始めた。
「すごく、いい人」
「そうなの……?」
「ん。よく気がつく、穏やかで優しい人」
「……そうなんだ」
「だからきっと、彼は幸せになれるよ」
「……ん」
そして葉月くんは、私の身体を優しく離す。
また、ちゅっ、と。
触れるだけの優しいキスをくれた。
「……それにしても、彼」
「え?」
呟いた葉月くんに視線を合わせると。
「いや、琴音といい、松下さんといい……やっぱり見る目があるなと思って」
ふ、と笑って私を見る。
私もつられて笑ってしまった。