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暁闇
第7章 記憶の中の雨
夕方――――。
その雨は、昼頃にはあがっていた。
今日はこれから、約束がある。
雨は、嫌いじゃないけれど、用事があるときはやっぱり晴れていてくれた方がなんとなく助かる。
最寄り駅までは歩いて10分。
ホームで待っていると、すぐに電車が来た。
中は空いていたが、座らずにドア付近に立つ。
乗るのは、ひと駅分。
ホームに降り、改札を通る。
ここで俺は待ち合わせをしていた。
「あおいさん」
すぐに見つけた彼女の後ろ姿。
声を掛けると、
「翔悟くん」
振り向いたそのひとは、俺を見て、笑った。