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暁闇
第7章 記憶の中の雨
「電車、久しぶりに乗りましたよ。
なかなか機会なくて」
「車で移動の方が確かに楽だもんね」
ふふ、と笑う彼女に頷いて答え、促すように俺は歩き始める。
「やっと実現ですね」
肩を並べて歩きながら、顔を覗き込むようにして話しかけると、
「ごめんね。いつもうちに来てもらってばかりで」
彼女がそんなふうに言うから、俺は慌てて首を振った。
「俺こそ……いつもお邪魔してばっかで。なんかすいません」
「丈は翔悟くんのこと大好きみたいだから」
ふふ、と。また。
「お兄さんができたみたいで嬉しいんじゃないかな」
「俺も、弟できたみたいで何か嬉しいです。丈、素直でかわいいし」
「……そう言ってもらえると」