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BAR・エロス
第15章 紫苑・・
言ったそばから紫苑は油断していた乳房をいきなり揉んだ。

あぁっと私は声をあげた。
考える間もなく声をあげた。

こういう事だ、と言わんばかりに。


「もう!いじわるね」


シーツのこすれる音がするくらいおおげさに背中を向けると、
彼にしては珍しく無邪気な笑い声をあげた。


「ごめんごめん!もう意地悪しないからさ・・
 もう一度・・梓さんを食べさせてよ・・」


いとも簡単に私の体を返し、
細い指があごを掴むとそれだけで、私の肌は熱りだす。

彼の舌が私の舌を好きなように転がし始める。

動きに勢いがついてきたところで急に
その動きを私が止めた。


「どうしたの?まだ怒ってるの?」


「ううん、そうじゃないの。
 もう一つ聞いてもいい?」


なぜエロスで働くことになったのか、気になっていたことを
突然聞きたくなったからだ。

快楽の突然の中断を、紫苑は笑い飛ばしてから答え始めた。


「フラれた僕はその後
 横浜のバーをいくつか渡り歩いてね。
 4軒めの店でママと知り合ったんだ。
 ママは客としてきていたんだけど、
 うちで働かないかって声をかけてくれたんだ。
 麻布だっていうし、そろそろ地元を離れようかと思っていたから
 とりあえず話を聞きに彼女の店に行ったんだよ」


そこまで話すと、
こみあげる笑いを我慢している。

その様子を不思議そうに見ている私に
とうとうこらえきれずに紫苑はふき出した。


「なあに?どうしたのよ。なんで笑って・・」


彼のはにかむ顔を見て、やっと気づいた。


「まさか・・
 あの面接を・・ママが?」

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