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BAR・エロス
第3章 盗み聞き・・
大きな笑い声が会話をかき消す。
さぁ続き、
早く続きを話してよ、と固まった体をさらに固めていると、
ようやく電話を終えた修が戻ってきてしまった。
ちぇ、いいとこなのに・・
「部長、なんだって?」
「原田さんが来週のシフト変更してほしいって話。
今じゃなくてもいいのにさぁ」
むくれた顔でぬるくなったビールを口にすると、
さらにふくれっ面でため息をつく。
そんな彼のために冷えたビールを注文した。
「ほら、冷たいビールきたよ。これで機嫌なおして。
で、今夜はたっぷりとかわいがってね、柏木くん」
隣りのアラフォーには聞こえないように、
顔を突き出して甘えた声を出す。
それを聞いてニタッと笑顔をつくったものの
すぐさま鼻から荒い息を吐いた。
「ねぇ、2人の時は柏木くん、じゃなくて
おさむって呼んでって言ってるでしょ!」
やっぱり、年上の女を相手にするような男は甘え上手だ。
お姉さまのツボに見事にハマるすべを知っている。
すこし尖らせた唇と、
ちょっとあごをあげたその位置から送ってくる視線は、
私の中心から熱い液をにじませた。
「あのね、修・・」
「なあに?」
耳を貸せ、と手で合図する。
近づいてきた彼の耳元に唇を寄せて、
「もう・・したくなっちゃったぁ・・」
熱い吐息も彼の頬をかすめる。
すると彼にしては珍しく、落ち着き払った顔つきで
重みのある声を出した。
「じゃあそろそろ・・行こうか」
いつも甘えてせがむばかりの修からは程遠い
その表情に首をかしげた。
だがすぐに気を取り直し、
目の前の料理を早食い気味にかたづけ、
焼酎も最後の一滴までしっかりと飲み干してから席を立った。
・・いい話聞かせてくれてありがと・・
彼女たちの横をすり抜ける時、
チラッと視線を送りながら心の中で手を合わせた。