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BAR・エロス
第17章 エロスのママ・・
だけど・・
ほんとうにできるかどうかはわからない。
それはよく考えてみないとわからない。
私だって働いてお金をもらわなければ生活できない身だ。
給料だとか休みだとか、
転職、という事になればそこを抜きには考えられない。
想い、だけでは仕事はできない。
その考えは正直に話した。
給料も休みももちろんきちんとした
条件を提示すると言ってくれた。
「負担を強いるような働き方は決してさせません。
私が欲しいのは、
私の考えを理解して想いをつないでくれる人、なんです。
人こそが一番の財産になりますからね」
ママのゆるぎない気持ちは私の心をしっかりととらえた。
人を財産だと思える人だからこそかもしれない。
「よくわかりました・・
もう少し時間をください。
心が決まったらまたお話させてもらえますか?」
私の返事に胸をなでおろしたママは、
紫苑の手を握った。
嬉しそうに口元を緩めながら。
2人の姿を眺めながら、そこに私が加わっても
違和感がない気がした。
3人とも同じような傷を持つ、それこそ仲間、なのだから・・
ドアの開く音がした。
さっそく今夜1人目の客がやって来た。
紫苑はカウンターへと戻っていく。
その後ろ姿を見つめるママの眼差しは、
まるでわが子でも見るような
優しさにあふれているように、私には見えた。