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BAR・エロス
第19章 修の中・・
「で、どんな人たちだったの?」
相手をしたのは40代くらいの男、
50代後半くらいのあまりタイプじゃない中年男、
そして30歳のセックス勉強中の男には
手ほどきをしてやった、とありのままを話した。
「みんなその一夜だけで終わるみたいだけど、
40代の男とは連絡先を交換した・・」
「そう・・その人、結婚は?」
「してるわ。既婚者よ。だから体だけ」
「みんな・・どうしてその店に行くのかな」
「さみしいから・・
人肌に癒されたくてその店に行くのよ。
真面目な気持ちでセックスの相手を探せる店なんて
他に無いもの」
幸子ママが語ったエロスへの思いを話して聞かせると、
修は静かに目を閉じ鼻から細い息を長く吐き、
同感、とつぶやいた。
「梓さんもさみしいのか・・
オレだけじゃダメなんだよね。だってオレ・・
結婚してるから・・
梓さんは自由に・・
癒しを求めても問題ないんだもん。オレは・・
何も言えない・・言っちゃいけないんだよね・・」
視線を下げ、膝をこすり続ける修・・
懸命に気持ちにブレーキをかけているように
私には見えた。
「50になっていろんな出会いがあった。
修にも出会えたし、そのバーとも出会えた。
もしかしたらこれが
ターニングポイントなのかもしれないと思ったら・・
飛び込んでみようかって・・
バーのママという
新しい仕事をやってみようかって思ったの。
できるかどうかなんてわかんない。
それこそやってみなけりゃわかんない。でも・・
やらなかったら後悔が残りそうな気がするの・・」
人はよく言う。
やった後悔よりも
やらなかった後悔のほうが残る、と。
これまで無難な仕事を続けてきた。
はっきり言えば私じゃなくてもできる仕事。
他に変わりの人なんかいくらでもいる仕事。
でもエロスのママは、
私でなければ・・
そうママも紫苑も思ってくれている。
その期待にどこまでこたえられるかわからないが、
やってみる価値はあると思える。
歳も歳だから失敗した後の事を考えると憶病にもなるが、
その時はその時だ。
これまでだって
どうにかやってきたじゃないか・・