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BAR・エロス
第19章 修の中・・


「そっか・・
 梓さんにとっての変わり目ってやつなのかな・・
 だったら応援してあげなきゃいけないよね。
 だけど・・」


部屋の中から
音という音が消えたように感じるくらい、
張りつめた空間。

それを突き破ったのは再びの修の声・・


「梓さんとは終わりにしたくない。
 今はまだ
 あなたが必要なんです」


初めて彼が見せるまじめくさった顔を、
私は力なく見返すしかできないでいた。


「もっと正直に言えば・・
 このままずっと
 梓さんとこの関係を続けていきたいって・・
 あなたを離したくないって思ってる。でもきっと・・
 あなたはそれを許さない。
 オレがカミさんを捨てるような事を
 決して許さないのは解ってる。
 あなたの想いはちゃんと尊重するし
 あなたを幸せにしてくれる誰かが見つかったら身を引くから・・
 だからそれまでは
 オレを捨てないで・・
 捨てないでよ・・」


「それじゃあまるで・・
 不倫じゃない・・」


無表情に近い顔してるけど、声は震えた。


「そうだよ、不倫だよ」


無表情は感情的に変わり、
こらえようと口をへの字に曲げたが間に合わなかった。

大粒の涙を・・落としてしまった。


「最初はさ、体だけの関係、なんて
 かっこいい事言ってたけどさ・・回を重ねていくうちに
 情ってわくんだよ、次第に好きになっちゃうんだよ。
 10回目の夜を記念日だって言ったオレの言葉に
 梓さんうれし涙流したじゃない。
 オレがカミングアウトした時、背中に爪が食い込むほど
 抱きしめてくれたじゃない。
 奥様って言われた時だって・・
 オレ・・梓さんのこと好きだよ・・
 好きになっちゃってセックスもしてたら
 これって不倫なんでしょう?」


その言い分に
首を横に振ることはできなかった。

10回目の夜を境に
まずは私の気持ちが動きだし、
12回目の夜には修の気持ちも動き出した。
体だけじゃなく、心にも寄り添いを求めている自分の気持ちを
素直に認めたじゃないか・・

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