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第19章 修の中・・

「不倫はダメだっていうけどさ、
　みんなしてるじゃない。なんでだと思う？
　好きになっちゃったらどうしようもないからだよ。
　清く正しくなんて教科書通りにはいかないよ」


今夜の修は饒舌だった。
その言い分のどれもが、
正しい答え、のように聞こえた。

人の気持ちなんて変わって当たり前。
ましてや男と女の間にある感情なんて、
動かさないでいることの方がよっぽど難しい。

ただセックスをするだけの相手です、なんて
最初のうちだけで
しだいに気持ちは傾いていく。
それを止めることができるヤツもいるだろうが、
多くの人は失敗に終わる。

私も彼もその一人、になってしまったわけだ。


「・・かっこつけないで言うよ・・私だって
　修のこと好きになってると思う。
　こんなオバサンの私との関係を
　とっても大事にしてくれるあなたのことが・・
　でもあなたには奥さんがいる。
　だから心だけは動かしちゃいけないと、
　その気を紛らわすためにもバーに通って相手を探した・・
　私はね、男と自由気ままに交わりたい・・
　けど女に私と同じ思いはさせたくない・・
　夫に捨てられる女を作り出すことだけは決してしない、
　それだけは守りたい・・
　これって私の勝手な言い分だってわかってるけど、
　修、わかってくれる？」


都合のいい逃げ台詞。
そうとられても仕方ないし、
自分のことしか考えないずるい女だと思われて当然だ。
だけど私は・・
ありのままを口に出して
自分のすべてを認めたかった。


「私・・どれだけ修を好きなんだろう・・
　好きだけど奪い取るつもりはないって
　それって本当に好きなんだろうか・・？
　よくわからなくなってきた・・」


「いいんだよ別に、きっちり答えを出さなくたって。
　自分で決めたルールだって
　破りたくなったら破ったっていい。
　こうしたいって強く想うことをすればいいんじゃないの？
　梓さん自由なんだからさ」