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BAR・エロス
第21章 終わりゆき、そして始まる・・
あと5分で日付が変わる、というぎりぎりのところで
バスルームから紫苑が出てきた。
テーブルに着くと
紫苑がシャンパンの栓を開ける。
きらめく泡を放ちながらシャンパンは
グラスの中で踊りだす。
12時の時報とともにグラスを合わせた。
ハッピーニューイヤー!
2人の声が重なり合う。
「やっぱり1人じゃないって、いいわね」
手の届くところにいつもいてくれる誰か・・
そんな誰かと
対の男女になれたら
支え合う幸せ、を感じながら
生きられるのかな・・
「そうだね。
こうして二人で新年を迎える・・
これから先も続いたらいいなって・・
これ僕の正直な気持ち。
僕の、だよ」
そうしてくれ、と言わないところが紫苑らしい。
上手くやっていくには
これがいちばんいい発言だとわかっているからだろう。
「そうね・・
そうなったらいいわね・・」
私もあいまいな言葉でぼやかした。
ぼやかしたけど・・
本当は気づいている。
今夜、大みそかという
特別な日に一緒にいたいと思う自分の気持ちに。
紫苑と同じ想い、この先も
ずっと続いたら・・
ずっと続けることを
選ぶこともいいんじゃないか・・
でも、
今はそれを口に出せない。
決心がつかない・・
「先のことはわからない・・
でも今こうして一緒にいるのは事実よ。
これがすべて・・」
静かにうなずく紫苑の隣に座りなおして
体をよりかける。
温もり、がもたらす素直な気持ちを
彼の唇に伝える。
その想いにこたえるように
紫苑は私をその胸に包んだ。