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BAR・エロス
第21章 終わりゆき、そして始まる・・
「去年は収穫の年だった。
いろんな出会いがあった・・
エロスと、そして紫苑さん。
50という節目にふさわしい一年になったわ」
頭の中を駆け抜けていく、数々の出来事・・
修との関係が始まり
BAR・エロスを見つけ出しのめり込み、
竹内に出会い、
紫苑と心を通わせた・・
そのすべてが
セックスに教えられたことばかり。
彼らだけじゃない。
あの年上男や慎吾くんも
体を使って教えてくれた。
「セックスって、ただ欲望を満たすだけのものじゃない。
そこから伝わる感情や思いを知ることで
よりその人を理解できる。
素晴らしいコミュニケーションよね」
竹内の受け売りを
もっともらしい口調で語ると、
彼はその通りだと相槌を打った。
「そう、だから
エロスのような場所が必要なんだよ」
「私・・
やってみようと思う。
エロスのママを。
うまくできるかどうかわかんないけど」
心を決めた。
BAR・エロスで自分を試してみよう、と。
自分と同じ思いを抱いている
同志たちの手助けをしてみよう、と。
「決心してくれたの?よかった・・
きっとママも喜ぶよ。
それ以上に僕が・・うれしいよ」
もっとなにか言いたそうにしていたが
何も言わなかったのは、
言葉を紡ぎだせば
気持ちはもっと膨らみ収拾がつかなくなることを
解っているからなのかもしれない。
それは私も同じこと。
心の内側を正直にさらしてしまったら、
紫苑の努力を無駄にしてしまう。
もう言っちゃおう、とふんぎれるその時まで
大切にとっておこう。