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BAR・エロス
第24章 エロスの中に・・
「どう?少しは慣れてきた?」
1ヶ月、5日目のバイトを終えた夜、
やっと紫苑と抱き合うことができた。
それまでは緊張と長時間労働で疲れ切ってしまい、
紫苑のベッドにもぐりこむとすぐに
眠りの沼に落ちてしまっていた。
そんな私を
無理やり揺り起こすことをせず、
朝までゆっくり眠らせてくれていた。
「こうして紫苑さんと抱き合える元気が残ってるってことは
すこしは体が慣れてきたってことかしらね」
久し振りに感じる彼の手のひらの温もりに
うっとりと目を閉じた。
「50の体には堪えるわ。
ましてや朝から続けての長丁場だからね・・
でもお客さんの励ましとか、時々口説いてくれたりとか
なんだか楽しくなってきたわ、この仕事」
「口説かれるのを楽しみにされちゃあ困るね、僕としては」
「へぇ、紫苑さんも焼きもちなんか焼くんだ。
はじめてあった頃のイメージとは全然違う」
BAR・エロスの扉を初めて開けた時、
紫苑の美しさに心ははじけた。
だが冷静沈着なその眼差しと息遣いと、
そして特殊な能力の持ち主だと
勝手に思い込んでいた時とは
別の男のようだ。
でも・・
人情、みたいなのを感じられて・・
いいんじゃない?
「イメージなんて
第三者が勝手に作り上げるものでしょ。
これが本当の僕の姿だよ・・」
1ヶ月も我慢したんだからもう一度、と
甘える紫苑を受け入れながら、
私は彼に対して抱いていた勝手なイメージを
砕いて捨てた。