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BAR・エロス
第26章 ママ・梓・・
「それじゃあ梓、
紫苑も大丈夫と判断しているし、
いよいよママとしてのデビューよ」
ソファに腰掛けるママのかたわらに立つ私の手を握り、
力づよい眼差しを向けてくれた。
その瞳の中に、
自信を持っていいのだという
合図のようなものが見えた。
「はい・・!
私の個性を生かしたママになれるよう
がんばっていきます」
誰かのまねを、
幸子ママのまねをする必要はない。
私なりの形をつくっていけばいいのだ。
妖艶ではないし、しっとりとした落ち着きもあまりないが
明るくて、ちょっとお人よしな、
違った意味での癒しを求めてもらえるような
ママになろう・・
「じゃあ来週から、
頼みましたよ、梓ママ」
振り返ると紫苑が
グラスをのせたトレイを持って立っている。
かすかな泡の音をたてて
シャンパンがグラスの中で揺らぐ。
「ママデビューが決まったところで
乾杯しましょう。
これは僕から」
まずは幸子ママがグラスを手にし、
それから私と紫苑も
グラスに手を伸ばす。
「これからの梓ママの活躍と、
エロスの未来のために、乾杯!」
3人のグラスが奏でる音が
静かに広がった。