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BAR・エロス
第5章 探そう・・
探索初日。
まずは六本木通りに沿って歩いてみる。
車の排気ガスとクラクションの音に顔をしかめながら、
地図の目印を見つけては角を曲がる。
大きめの道路から徐々に狭くなっていく道。
でも目当ての路地は見当たらない。
この辺じゃないのか・・
今度は六本木ヒルズを背にして歩き出す。
そういえば・・ここ、
昔はなんだっけ・・?
記憶を手繰り寄せてもよみがえらない。
それほど目の前の景色は変わってしまった。
わずらわしいくらいの人通りの多さから
徐々に遠ざかり、
地図の印と思われる場所に近づいてはきたが
細い路地は見つからない。
歩き始めて2時間。
いい加減疲れて足が前に進まなくなってきたので、
目の前のカフェに逃げ込んだ。
・・今日はこれくらいにしよう・・
テーブルにひろげたバツ印のついた地図を眺めながら
大きく肩を回し、腰をさすった。
探索2日目は首都高目黒線あたりから。
大使館が立ち並び、住宅街も続いている。
それにしても、
こんなにお寺があったんだ、と
出くわすたびに立ち止って眺めたりした。
だが1時間もすると、そう、
ちょうど麻布十番のあたりで動きが止まってしまった。
・・もう疲れてダメだ・・
へこたれて、あたりを見回し
休めそうな場所を探すと、アメリカンスタイルのバーがあった。
今日は日曜日。
昼間っからテラス席でビールを飲む男達。
その姿につられるようにして
私もテラス席に座った。
・・あ~あ、こんな調子で
ホントに見つけられるのかなぁ・・
こんな苦労をしてでも
見つける価値のある店であってくれ、とまだ見ぬ店を想像し、
真昼の太陽に見守られながら
ビールで息を吹き返そうとした。