この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
BAR・エロス
第7章 1人目・・
男の額から流れた汗が、私の頬に落ちる。
彼は私の体を愛おしそうに抱きかかえて
交渉の余韻を楽しんでいるようだった。
「久しぶりにすごい女と出会えましたよ」
その声には含んだような笑いが感じられた。
「今夜エロスに行ってよかったです・・」
男は私の頬に手を添えて
まるで恋人同士がするような
優しいキスをくれた。
少しだけ・・
交渉の枠から外れた女心を感じてしまった。
そのおだやかな唇のせいで・・
「私も・・勇気を出して
あの重いドアを開けてよかったわ。実はね、
3回目なの、あの店に来たのは。
でも前の2回は入れずに引き返してしまった・・
やっぱり怖かったもの」
男の胸に顔をうずめながら、
あのドアを開けた私を褒めて、と自分の頬をこすり付ける。
すると男は、私の顔を覗き込んでから
「さっきの淫乱さはどこへいっちゃったのかな?
そんなしおらしい顔をして・・」
からかうように私の体を揺さぶった。
「もう・・いじわるね。
そんなに・・淫乱だった?私・・」
乱れることに喜びを感じる。
そんな恥ずかしい姿を男にみられることにもまた
喜びを感じている。
そうやって快感にどっぷりと溺れるために、
男の前で体を開く・・
「あなたは・・なぜ
エロスで相手を探そうと思ったんですか?」
あのバーで相手を見つけ目的を果たした者ならば
誰でもそう問いかけたくなるだろう。
私だって、彼に聞きたいと思うのだから・・
「1人の男に・・のめりこまないように・・」
「それは・・恋人?それとも
かなわぬ相手?」
たぶん・・男の頭の中の想像は、
不倫相手だとか結ばれるような環境にない、そういった
男がいるのでは、そう思っているのだろう。
私だってそれくらいしか想像がつかない。
修に・・あまり深くのめりこみすぎると
私自身が辛い思いをすることになる。
今は抜群のセックスパートナー、という位置づけではあるが、
あの10回目の夜のように
彼の前で涙を流すようなことを繰り返せば・・
この男の想像するような
ただの不倫相手になってしまう。
そうならないためにも・・
こうしてスペアをいくつか用意しなくちゃ・・