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BAR・エロス
第7章 1人目・・
「そんなんじゃないわ。
別に相手がいるわけじゃない・・もう特定の相手なんか
私には必要ないってこと。
だったらセックスの相手なんかたくさんいたほうがいいって、
それだけのことよ」
嘘も方便。
この男に今の気持ちを吐き出して
心まで開いてしまう必要はないんだ。
開くのは体だけ・・
そのための相手なんだから・・
本当の心のうちは・・
誰にも言わない・・
男の眼を見ると、なんだか嘘を
感づかれたような気もしないでもないけれど
さすがに大人の男だけあって、
必要以上に聞き返してはこなかった。
「そういうあなたはどうして?」
これ以上心を探られないように、
今度は私が彼に理由を聞いてみた。
「女房とは・・性の不一致でしてね。
子供が生まれてからめっきり減って・・
結婚してもう20年近くになるけど、
今ではまったく無いんだよ・・」
ふわっとしたため息を舞い上がらせるこの男は、
意外にも正直に理由を話し始めた。
「まだ40半ばですよ。なのに
もう触れられるのも嫌なの、なんて言われちゃあねぇ。
僕はまだまだ女の肌を味わいたい。
結婚してるわけだから当然女房の。
でも当人がダメだっていうのなら、
他をあたるしかないでしょう?」
最後の方は自棄を起こした子供みたいに
荒々しさもにじませていた。