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BAR・エロス
第8章 2人目・・
なんだか今夜は体が固まっている。
やはり自分好みの男ではないからだろうか。
でも紫苑は、このマッチングに
何らかの意味を持たせたような気もするので、
ガンバってこの男に挑戦してみることにした。
やるからには、と思い直して彼に顔を向けた時、
人の気配を感じた。
私たちの斜め後ろのソファ席にも男女が座っているのに気がついた。
さっき向かい合って座っていた、あの男女。
やはり交渉の舞台へと移っていたのか。
小さな笑い声が聞こえてきた。
交渉は順調に進んでいるのだろう。
「さあ、よそ見は終わりにして。
我々も交渉を始めましょう」
男は早々と私の肩に手をまわしてきた。
緊張が彼に伝わったのか、ゆっくりと
私の二の腕をさすってくれた。
「あなた・・年上の、こんな中年は
好みではないのでしょう?」
「いえ、そんなことは・・」
「いいんですよ。素直でいい。
そんな正直そうなところが見ていて伝わってきたんで
あなたと交渉してみたくなったんです」
この男にもお見通しってわけか。
どれだけバカ正直な人間なのだろう。
でもそれが・・
私の個性、か・・
「私・・すぐに読まれてしまうんですね、心の内を。
なんだか悔しい・・」
ギムレットをあおるように飲んで
それから男の肩に
ゆっくりともたれかかった。
自然と、考えることなく彼に寄りかかる。
交渉を進める合図のように。
男は一安心したように細い息を吐き、
私の腿に手を置いた。
今日はスカート・・
男の手が裾からさらに上へと動いていく。
どんどんと核心に近づいていくのに・・
なぜだか私は拒む力を失っていた。
このまま突き進まれたらどうしよう・・
頭ではわかっていても、
阻止するために手が動くことはなかった。
男も・・
核心にまでは触れなかった。
その手前で止めている。
その落ち着きが、拒むことをさせないでいるのかもしれない・・
このまま・・
この男を受け入れてみよう・・
そう覚悟が決まった。