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BAR・エロス
第9章 12回目の夜・・


「うわぁ!素敵な部屋!夜景もきれい!」


興奮気味に部屋を眺めまわし、
窓に駆け寄る私に一歩遅れた修も
ガラスにへばりつくようにして
光の瞬きを見下ろしている。


「私が学生の頃は
 新宿に高層ビルって3つくらいしかなかったのよ。
 それがこんなにたくさん・・
 このホテル、泊まってみたかったんだぁ。
 でも、けっこうするでしょ?」


いつもは折半するのだが、
今夜はプレゼントだといって聞かない。
よりによってこんな高級なホテルを。


「そんなこと気にしないの!
 梓さんにしてあげたい、それだけなんだから」


ずいぶんと大人の言い分が板についてきた。

関係を始めた頃から比べると、
説得力が身についてきたように思う。
上げ足も取らずにそのまま受け入れられる
重みのある声・・

素直に頭を下げた。
ありがとう、と。


「すごくうれしいよ。
 お礼に・・今夜は
 修にすべてをささげます!だから・・
 あなたの言うとおりに・・
 思うままに・・」


彼の足もとにひざまずき、
服従の眼差しで見上げる。

今夜は・・
彼にすべてをゆだねてみたい。
私から攻めることはせず、ただただ
言いなりになる。
彼の意のままに動きたい・・

修は手を伸ばし
私を引き起こすと、


「じゃあ・・
 一緒にお風呂に入ろう。
 いいでしょ?
 オレの言うとおりにするんだもんね?」


私の耳に指を入れてくすぐりながら
恥ずかしそうな細い声を出した。


ここまでの11回、
風呂に一緒に入ったことはまだ無い。
さすがに勇気がでなかった。

ベッドの上ではあんなにも
足をひろげて恥ずかしい姿を見せつけているのに、
なぜかバスルームは違うと思えた。

体を洗っている最中のその無防備さ。
いつ攻め込まれるかわからない状況では
落ち着いて体を洗う事なんかできないし、
なにより明るい。
ごまかしがきかない。

だからバスルームだけは
2人で入ることは避けてきた。

それが今夜は・・

そう、服従すると決めたんだし、
その一歩を踏み出せば
なにかが変わるかもしれない。

私はバスルームに行って
バスタブにお湯を溜め始めた。


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