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BAR・エロス
第9章 12回目の夜・・

男が過去を振り返る場面には、
ほとんど遭遇したことはない。

男は女のように
過去を打ち明けることで
より関係を縮められるということを、
作戦として使わないからかもしれない。

修が話し出すのを静かに待った。


「・・昔、付き合ってた彼女からさ、
 変態呼ばわりされたことがあるんだ・・」


意外な内容に、思わず唾を飲み込んだ。


「24歳の時だったかな・・
 仕事で出会った2つ下の女・・
 付き合いだして、2度目のエッチの時にさ、
 銜えてって・・お願いしたんだ。
 そしてら彼女・・
 やだ!そんな変態みたいなこと!って
 オレのこと跳ね除けたんだ。
 そんな事言われてもう・・立たなくなっちゃって・・
 彼女ともそこで終わりにした・・」


彼の吐き出した長い息がものすごく冷やかなのは、
その時の傷の深さを物語っているからなのだろう。


「セックスってさ、
 2人共楽しめなきゃ意味ないよね・・
 愛し合うって、意味じゃあなくなっちゃうよね。
 オレは彼女の足をめいっぱいひろげて舐めまくったよ。
 でも変態だなんて彼女は言わない。
 なのにオレがシテって言ったら・・そんなのおかしいよ・・」


オレは間違ってないよね・・

言葉にする代わりに
私の首筋に額をこすり付ける修・・

彼の納得いかない気持ち、もちろんわかる。

セックスのその先にあるものが
一致しなかったという結果は、
その内容こそ同じではないにしろ
辛くのしかかってきたことにかわりはない。

修も私も、
捧げた愛をバッサリと切り捨てられてしまったわけだ。


修の頭をこの胸に包み込んだ。
自分とどことなく似ている男が、
愛おしくて愛おしくて・・
抱く腕に力がこもる。

修は乳房をいじりながら、話を続けた。



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