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BAR・エロス
第10章 3人目・・
「嫌だなんてとんでもない!
ホントに?ホントにボクでいいんですか?」
静かにうなずく私を見て、
慎吾はスツールから立ち上がると
深々と頭を下げた。
「慎吾さん、よかったですね。
今夜・・この方がきっと
良きお相手になってくださいますよ」
またしてもまんまと彼のマッチングにはまってしまったが、
ここは人助けとも思って、
それに20歳も年下の男を抱けるなんてチャンスは
そうそうあるわけじゃない。
表面的には良い人ぶって
謙遜の微笑みを返した。
「申し遅れました。
私、篠原梓といいます」
彼らの名はわかっているのに
私だけ教えないのは失礼な気がして名乗った。
「梓さん・・これからは
そうお呼びしてもよろしいですか?」
先に口を開いたのは紫苑の方だった。
もちろん・・
紫苑を見つめて頷いた。
「では、交渉成立、ということで」
今夜はあの席には座らず
早々と店を出ることにした。
いつもように紫苑を振り返る。
彼はいつも通り、手をあげて送り出す。
その唇は・・
よろしくね、と動いた。